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朽ち果てる2005年11月08日（火）10:22
『Fate／hollow ataraxia』
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正しく至高の蛇足。
一言の揺るぎもなくファンディスク。
二次創作的な日常ネタをこれでもかと豪勢に詰め込んで、サブキャラクターの
掘り下げもして、あまつさえそれらを丸ごとギミックとして機能させるという、
向かうところ敵なしの布陣。
プレイ時間はミニゲームを除いたコンプリートまで33時間ほどでした。
『Fate』本編の「ファン」に向けてチューニングされた作品であって、
前作を「プレイした」人間に対して創られているわけではないのがミソ。
演出としては相変わらず凄まじい作りこみがなされているので、それを
眺めるだけでもある程度は楽しめると思いますが、やはり本作を真に
楽しむためには『Fate』と、そしてTYPE-MOONの「ファン」であることが
必須条件だと断言して構わないでしょう。
「信者」と置き換えても語弊はありませんし、その響きを嫌う方には
正直なところ向いていないかもしれないと思わせる作品ではあります。
平穏な日常と凄惨な過去、それをイコールで結んで『Fate』世界観はできている。
英霊たちが身を浸す一時の幻想。
その幸福を感じるとき、本作は最大の威力を発揮することになります。
ライダーの、キャスターの、ランサーの、イリヤスフィールの、それぞれの幸せと
その切ない立脚点を、どうか存分に噛み締めていただきたい。
以下、ネタバレ。
!いや、こうまで露骨にメタをやってくるとは思ってもみませんでした。
!終わらせたくない、という願望が、隙間を埋めてしまいたい、終止符を打ちたい、
!そして結末を見たい、という感情にシフトするタイミングを以って、プレイヤーは
!アンリマユと同化する。
!これもファンディスクという位置づけゆえの試験的な運用というべきなのかも
!しれませんが、「繰り返しに飽きるプレイヤー」をシナリオに組み込んできた、
!というのは那須テキストとしてのターニングポイントと言えましょう。
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!印象に強いイベントはやはりライダーの「not,」とキャスターの「桃源の夢」。
!「not,」は「キビシスの鏡」「ゴルゴンの蔵」と合わせて１セットですね。
!どちらも哀しすぎる物語ですが、なればこそ幻想の日常がどれほどに貴く、
!そして儚いものかを痛切に思い知ることができます。
終わりに向かう切なさ、閉幕の後の寂しさも合わせて、正しくお祭りと呼べる
作品でありました。
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