CY???-??-二日目-10-05 ( No.140 ) |
- 日時: 2005/04/10 10:38
- 名前: カーシャ/ファビアン
- 参照: 天空の宿屋/酒場
- 「いや、十分に話はした。今は、出発に備えて各自準備をするべきだろう」
「賛成ですね。お互いの信頼関係の礎はできたと思います。あとは、実戦でお互いの力を見せ合いましょう」
カーシャの言葉に、ファビアンが紅いペガサスを代表して答えた。
「良かろう。では、一刻後(いっときご)にまたここで。宿には戻らぬので、必要なものは全て持っていく様に」
そう言うとカーシャは立ち上がった。ファビアンたち紅いペガサスも同様だ。
|
CY???-??-二日目-10-06 ( No.141 ) |
- 日時: 2007/09/03 06:00
- 名前: ファビアン/ガーレーン
- 参照: 天空の宿屋/酒場
- 「あ、それから」
立ち去り掛けたボーランとカーシャをファビアンが呼び止めた。
「今後の呪文の回復は、出来ないと考えた方が宜しいかと思います。出来れば、お互いの戦術的な分担を決めておいた方が良いかと」 「そうだな」
妥当だな、とカーシャは頷いた。
「ボーランも異存は無かろう。さすれば、何が可能か、互いに話して置く必要があるな」
|
CY???-??-二日目-10-07 ( No.142 ) |
- 日時: 2008/01/05 01:06
- 名前: ボーラン
- 参照: 天空の宿屋/酒場
- 「そうですね」
カーシャの言葉に頷きながら、少しだけ自分の意見を添える。
「ただ、先に細かいところまで決めてしまうと、後で身動きが取れなくなるかもしれません。ですから、最初は大まかな方針だけ決めて、あとは逐次調整していくのが良いと思います」
それから、と、話すうちに浮かんだ考えを付け加える。
「せっかく既存のチームがあるわけですから、分担はお三方の連携を生かす形で……そうですね、私が紅いペガサスの動きをサポートして、カーシャ殿は直接連携を取らずに遊撃的に動く、こんな感じはどうでしょう?」
|
CY???-??-二日目-10-08 ( No.143 ) |
- 日時: 2008/01/14 02:48
- 名前: カーシャ/ファビアン/ガーレーン
- 参照: 天空の宿屋/酒場
- 「私に異存はない。攻撃関係を、多少防御に回すことにするがね」
後方支援に多少重点を置こう、とカーシャは結んだ。
「そうですね。私たちの方も、その方が動きやすい。通常通りに、状況に対処しましょう。出来れば、ボーランさんは後方支援に、カーシャさんは前面への圧力が大きくなったら参戦をお願いします」 「そうだな。いつもより火力があるのは心強いぜ」
ガーレーンはにやっと笑って言った。
「では、お二人とも。その様にしましょうか?」
|
CY???-??-二日目-10-09 ( No.144 ) |
- 日時: 2008/01/16 00:44
- 名前: ボーラン
- 参照: 天空の宿屋/酒場
- 「気に入ってもらえたようで何よりです。では私は援護に回ると言うことで。もっとも……」
私はこの頼もしき、新たな冒険の仲間達を見る。
「大概の敵には、私の出番は必要無さそうですが」
そう言って、にやりと笑みを浮かべる。 楽な冒険ではないだろうが、彼らとならば、きっと最後まで到達できるに違いない。
「さてと、それじゃ私は一旦部屋に戻ります」
言って、席を立つ。 方針も定まった、ならば、あとは動くだけだ。
「欲しい呪文があれば、今のうちにどうぞ。何もなければ、とりあえず攻撃に二割、援護に四割、状況対応に三割といった配分で行くつもりです」
(そして、最後の一割は……)
自分の目的のために。そう心の中で呟く。 秘密にするようなことではないのだが、その目的が女の子に会うこととなると、私が口にするにはちょっと恥ずかし過ぎる。 カーシャ辺りには見透かされそうな気もするが……大人な彼女のことだ、きっと黙っていてくれるに違いない。
|
CY???-??-二日目-10-10 ( No.145 ) |
- 日時: 2008/02/25 06:41
- 名前: ファビアン
- 参照: 天空の宿屋/酒場
- 「広域攻撃系を持っていたら、それを重点にお願いします。回復系はお任せ下さい」
「狙い撃ちはオレに任せろよ。剣もそこそこ使えるぜ」 「ガーレーンは魔導戦士ですからね」
私より大分器用ですよ、とファビアンは笑った。
「白兵戦闘力は“氷姫”がオレらの中では最強だがね」 「えぇ。私たちは、いつもリラゼルを中軸に隊形を組んでいましたからね」 「・・・なかなかのバランスだな」
カーシャの言葉に、ファビアンとガーレーンが笑みを交わした。
「付き合い、長いからな」 「そうですね。かれこれ、十年は一緒にいますから」
そうか、とカーシャは頷いた。
|
CY???-??-二日目-10-11 ( No.146 ) |
- 日時: 2008/02/29 03:17
- 名前: ボーラン
- 参照: 天空の宿屋/酒場
- 「魔導戦士ですか……それは頼もしいですね」
そこまで言ってから考える。魔導戦士と言うことは、マルチかデュアル。おそらく戦士からマジックユーザーへのデュアルだろう。だが……この豪快な男の過去に一体どのような転機があったのだろうか。
「それでは、単体攻撃呪文は少なめにしておきましょう」
疑問が顔に出ていたかもしれない。ガーレーンに向けていた視線を元に戻して、そう言ったあと、そういえば、と、ふと思いついたことを付け加える。
「私は火炎系がメインなのですが、皆様得意な属性や耐性のある属性はありますか? 差し支えなければ聞かせて欲しいのですが」
|
CY???-??-二日目-10-12 ( No.147 ) |
- 日時: 2008/03/04 05:12
- 名前: ファビアン/ガーレーン/カーシャ
- 参照: 天空の宿屋/酒場
- 「私は僧侶ですから、治癒系、防御系と聖光系の呪文が使えます。状態変化系の抗魔力は十分あります。ガーレーンは・・・」
「オレ様は、雷撃系が得意だぜ。個々の狙い撃ちの打撃系もまぁまぁだな。地水火風の魔法防御もばっちりだぜ」 「リラゼルは若干の治癒系と強力な聖光系が使えます。それに、リラゼルには魔法防御が掛かりますので、抗魔力は私たちの中で一番でしょう」
ま、あの剣のお陰だけどな、とガーレーンがファビアンを補足した。
「私は、火炎系と空間系だ。防御だが、魔法防御は十分にある。状態変化も、地水火風の対する防御もある」
ファビアン、ガーレーンに続いてカーシャも自分の得手を説明する。
「へぇ? 氷姫と似た感じかい?」 「いや──効果は兎も角、手段はリラゼル殿とは異なるだろうと思う」 「剣じゃないのかい?」
カーシャはガーレーンに頷くと、自分の胸甲を指し示した。
「その胸甲かい?」 「神龍の加護を受けている。並みの魔法は効かない。」 「へぇ・・・そりゃまた便利なもんだな」 「空間系、とは何でしょうか?」
聞いても宜しければ、ですけれども、とファビアンが続けた。
「ここで使えるかは不明だが──最大のモノは、龍を跳ばすことが出来る」 「それは・・・」 「へぇ・・・」
ファビアンとガーレーンが異口同音にはもった。
「私の時代の大賢者にして大魔導師であるラインガード・ティタン殿が創造した呪文、『ジャンプ・ドア』と言う」
|
CY???-??-二日目-11-01 ( No.148 ) |
- 日時: 2008/04/22 04:33
- 名前: ボーラン
- 参照: 天空の宿屋/酒場
- 「ディメンジョン・ドアの強化版でしょうか? 機会があれば覚えてみたい呪文ですね、それは」
しかし、ラインガード・ティタン……聞いたことの無い名だ。 カーシャの口ぶりからするに相当偉大な魔導師であるようだが、にもかかわらずその名を知らないと言うことは……これから現れる人物だということだろうか?
色々聞きたいことはあるが……
「なるほど、大体分かりました。とりあえず、個別の支援呪文はほとんど要らないようですね。では、その分を状況対応に充てることにしましょう」
戦ううちに分かることもあるだろうし、なにより目下の課題としては、目の前の冒険をどうするか、だ。 分かっていたことではあるが、どうやら私が一番防御が薄いようだ。矢面に立つことはそうそう無いだろうが、気をつけないといけない。
「さてと、事前に聞くべきことは聞けたと思います。他に何もなければ、一旦解散ということにしたいと思いますが、よろしいですか?」
そう言って、私は他の面子の顔を見回した。
|
CY???-??-二日目-11-02 ( No.149 ) |
- 日時: 2008/03/28 23:19
- 名前: カーシャ/ファビアン/ガーレーン
- 参照: 天空の宿屋/酒場
- 「わかった。」
カーシャは頷くと席を立った。
「こちらも準備しましょう、ガーレーン」 「了解だ。また後でな、ボーラン、カーシャ」
ガーレーンに軽く頷くと、カーシャは部屋へと向かった。
「ボーランも、後でな」 「ボーランさん、また後で」
行こうぜ、というと、ガーレーンはファビアンと連れだって酒場を後にした。
■連絡 (1)題名を11-01に修正して下さい。12まで行ったら、一つ繰り上がります(10-12→11-01) (2)上記に対するリアクションが有れば、11-02で、無ければ12-01まで飛ばして下さい。
|
CY???-??-二日目-11-03 ( No.150 ) |
- 日時: 2008/04/22 04:33
- 名前: ボーラン
- 参照: 天空の宿屋/酒場
- 「さて、それじゃ私も部屋に戻るとしますか」
呪文の取り方はもう決まっていた。 いつも通り。バランス良く、可能な限りあらゆる事象に備える。 そして彼女に会うために、状況を打開するための秘策を幾つか。 今回のメンバーは呪文能力が非常に高い。多少偏った覚え方をした方が、役割分担が明確になって良いかもしれない。 だが。
「何が起こるかわかりませんし……結局、彼女の元にたどり着けなければ、無意味ですからねぇ……」
そう考えた上での結論だった。もう、あとは呪文を覚えるだけである。 そうして階段を昇っていた足が、止まる。
「…………」
不安、とは違う。だが、心に引っかかるものがあった。
「うーん……どうしたものかなぁ……」
少し考えたのち、自分の部屋に戻るのを止め違う部屋の前に立つと、そのドアをノックした。
「ボーランです。少し相談があるのですが、よろしいですか……リラゼルさん」
|
CY???-??-二日目-11-04 ( No.151 ) |
- 日時: 2008/05/09 06:12
- 名前: リラゼル
- 参照: 天空の宿屋/リラゼルの部屋
- ・・・カツンカツンカツン。
扉の向こう側から小さな足音が近づき、ギィと小さく軋みながら扉がゆっくりと開かれる。 すでに彼女は白銀の鎧に身を包み、腰に細身の剣を下げていた。 その灰色の瞳がじっとボーランを見る。
「・・・何か?」
女性としては幾分低めの、透き通るような、しかし、平板な声。 能面のような表情からは何も読み取れない。
|
CY???-??-二日目-11-05 ( No.152 ) |
- 日時: 2008/05/15 02:10
- 名前: ボーラン
- 参照: 天空の宿屋/酒場
- 「お邪魔してすみません。実はですね……」
そこまで言って、言葉に詰まる。
『えーと……なんと言えば良いんだ?』
相談したいことは明確だ。 だがしかし、一体なんと言葉にすれば良いのだろう。 初対面も同然の女性に、これまたあったばかりの女性の、余人にはあずかり知らぬ哀しみについて相談しようとする場合には。
「…………」
沈黙はほんのわずかだったと思う。 目の前のこの女性には気付かれただろうか? とにかく、なんとか言葉をひねり出そうとする。
「その、カーシャ殿についてなんですが……彼女のことをどう思いますか?」
言って、心の中で頭を抱えた。一体これで、何を分かれと言うのだろうか?
|
CY???-??-二日目-11-06 ( No.153 ) |
- 日時: 2008/05/22 06:38
- 名前: リラゼル
- 参照: 天空の宿屋/リラゼルの部屋
- 微かに眉を顰め、眼を細めて、じっとボーランを見る。
「・・・悪いが、他人のことを詮索するのは好きではない。・・・それに、詮索好きな男も好きにはなれぬ。」
それはほとんど感情を感じさせぬ、おそらくは事実を告げるためだけに紡がれた言葉。
|
CY???-??-二日目-11-07 ( No.154 ) |
- 日時: 2008/07/02 06:04
- 名前: リラゼル
- 参照: 天空の宿屋/リラゼルの部屋
- けして非難めいた口調ではなかった。
言葉を失ったボーランを見て、小さなため息が漏れる。
「・・・『魔術師』殿。もし貴公と出会ったのが“この場所”でなければ、そんな詮索好きな男の言葉に耳を貸したりせぬし、余計な口出しをしようとも思わぬ。・・・だが、貴公に出会ったのは他ならぬ“この場所”ゆえ、一度だけ言っておく。」
ゆっくりと目を瞑り、押し殺すような低い声が静かに続く。
「・・・人には誰しも、安易に触れられたくはない“大切な想い”がある。その“想い”にあえて触れようとするなら、相手に対してそれなりの責任を取る『覚悟』が必要だ。・・・そして、そのことのわからぬ貴公でもあるまい。」
灰色の瞳が再びボーランを捉える。
「ならば問う。その詮索は、それだけの『覚悟』をしてのことか?」
しかし、そう問いかけておきながら彼女は答えを待たずにこう続けた。
「・・・貴公には貴公自身の“大切な想い”があるのだろう? 二つを同時に追えば、どちらも得られぬまま終わることになりかねぬ。・・・貴公はそうなっても後悔せぬ、と言い切れるか?」
押さえていた扉から、手を離して後ろを向く。
「・・・中途半端なことなら、最初からせぬ方がよい。」
|
CY???-??-二日目-11-08 ( No.155 ) |
- 日時: 2008/07/16 05:16
- 名前: ボーラン
- 参照: 天空の宿屋/リラゼルの部屋
- 口にしようとしていた言い訳めいた言葉も全て吹き飛んだ。
心の中でため息を吐く……自分の情けなさに。
『いかん、落ち込んでる場合か!』
自己嫌悪に沈みそうになる自分の心を叱咤する。 彼女にここまで言わせてしまったのだ、そんなことをしている暇があるなら、彼女の問いに真摯に答えることで贖うしかない。 リラゼルの問いは……重い。それは、彼女にそう思わせる何かがあったからなのだろうか? ……だが、それを考えることこそまさに詮索そのもの、気遣うことは彼女に対する侮辱。
「…………」
先ほどの考えは心の奥に封印し、静かに目を瞑って彼女の問いと向き合う。 まず考えるべきは、カーシャ殿のこと、その想いと、そして覚悟。
カーシャ殿を助けること、そして彼女の想いに触れること。そしておそらくは……彼女がそれを望んではいないこと。 それゆえリラゼル殿に助言を求めようと思ったのだ、カーシャ殿に拒まれること無く彼女を助ける方策を。
『だが……』
分かっている。 そんな方法など、誰も傷つかず、誰も傷つけずに、傷ついた誰かを助ける方法などありはしないのだと。 ならばどうすべきか。
『決めたはずだ……弱い考えを否定すると』
心を決める。 拒まれようと傷つけることになろうと、それでもカーシャ殿を助けるという意志と、そして、彼女に認められるだけの信頼を勝ち得ることを。
そしてまた考える。 自らの想いと、カーシャ殿の想い、二つを背負えるのか、そして後悔しないかを。
「…………」
そうして気付いた。 その問いは彼女の、リラゼルの優しさなのだと。 ならばここで口にすべきは、覚悟のある無しなどではなく、覚悟から発せられる意志、そしてそれを形にした言葉だ。
ゆっくりを目を開き、リラゼルの背に向けて、そして自身の心に向けて告げる。
「私は彼女を、カーシャ殿を助けます。そして、誓いましょう。たとえ後悔する結果になろうとも、この選択だけは悔いることが無いと」
一呼吸おいて言葉をつなぐ。
「もしもの時は、リラゼルさん、力を貸してもらえませんか?」
|
CY???-??-二日目-11-09 ( No.156 ) |
- 日時: 2008/08/02 06:15
- 名前: リラゼル
- 参照: 天空の宿屋/リラゼルの部屋
- 「・・・そうか。・・・それが貴公の答えか。」
後ろ姿のまま、リラゼルは声をしぼり出すようにして、それだけ言った。 それは、なかばは期待していた答えであり、同時に一番聞きたくない答えでもあった。
“・・・この者は、その選択を後悔せぬだろうか。・・・本当に?”
再び小さなため息が漏れる。しかし、今度のため息はどこか自嘲めいていた。
「・・・好きに、するがいい。・・・最初から他人の助けをあてにしているようでは、その『誓い』とやらも、あまりあてにはできぬのかもしれないが。・・・まぁそれは“その時”が来ればわかることだ。」
ゆっくりと振り向いて、閉まりかけていた扉を片手で押さえ、ちらりとボーランを見る。
「・・・後悔することになっても、私に手助けできるとは限らぬぞ。」
彼女は短くそう続けた。
「・・・話は、それだけか? それだけなら、部屋に戻って出立の支度をするがいい。」
|
CY???-??-二日目-11-10 ( No.157 ) |
- 日時: 2008/08/23 21:17
- 名前: ボーラン
- 「そうですね……ありがとうございました。“もしも”のことが起こらないよう、頑張るつもりです」
お礼とともに頭を下げる。 そして部屋を去ろうとして、ふと立ち止まった。
「後悔することも悪くない……と、私は思いますよ。長い人生、失敗してしまったり、取り返しのつかないことが起こってしまうこともあるはずです。その時に後悔してしまうことは、それが大切なことであるならなおさら、仕方がないことではないでしょうか? それを責めることに、どれだけの意味があるでしょう」
独り言のように口にする。 思い返すのは仲間たち、そして、かつては敵であった者たち。
「大切なことは、失敗を無駄にせず、再び前に進むこと……後悔はその一歩を踏み出すための、あるいはそこから逃げずに踏みとどまるための力にもなるはずです。そして、悔しさをばねに、あるいは痛みを思いやりに変える、しなやかな強さが人にはあるのだと信じます」
……一呼吸おいて。 偉そうなことを言ってしまいましたね、そう言ってポリポリと頭をかく。
「それではまたあとで。冒険の前に長々とお邪魔してすみませんでした」
そう告げながら再び頭を下げると、今度こそリラゼルの部屋を後にした。
|
CY???-??-二日目-11-11 ( No.158 ) |
- 日時: 2008/08/30 23:24
- 名前: リラゼル
- 参照: 天空の宿屋/リラゼルの部屋
- パタンと軽い音を立てて、目の前の扉が閉まる。
しかし、リラゼルはそこに立ち尽くしたまま動こうとしなかった。
「・・・」
剣の柄をぎゅっと握り締め、唇をかむ。
後悔することも悪くない。起こってしまったことは仕方ない。
そんな風にわり切って考えることができたら、どれほど楽になれるだろう。 ・・・あの者は、ただ一度しか許されない選択の機会を終えた後も本当にそう思えるだろうか? そんなことを思ってしまう自分が無性に切なく哀しかった。 以前の私なら、きっとあの人の胸で思い切り泣けば気が晴れただろう。 だが、涙はこぼれなかった。流れる涙など、自分には残っていない。
大切なことは、失敗を無駄にせず、前に進むこと。
そんなことはわかっている。いや、わかっているつもりだった。だから、こうしているのだから。 ・・・わかっているつもりになっているだけなのかもしれないが。
だが、私は前に進んでいるのだろうか。・・・前に進んでいるなら、なぜ私はここに戻ってきてしまうのだろう。 これはあの時の選択をやり直したいという気持ちの現われではないのだろうか。
それは、これまで何度もくり返した答えの出ない問い。
「・・・フォウチューン。・・・私は、どうすればいい?」
相方が何も答えてくれないことはわかっている。それは自分で決めなければならないことだから。 だが、それでもリラゼルはそう聞かずにはいられなかった。
|
CY???-??-二日目-11-12 ( No.159 ) |
- 日時: 2008/08/31 01:29
- 名前: カーシャ・ラダノワ
- 参照: 天空の宿屋/カーシャの部屋
- カーシャは自分の部屋に戻ると、自分の私物が入った小さなザックを手に取った。何時でも出掛けられるように、常日頃荷物は纏めてあったので手間は掛からない。
暫くの間過ごした部屋を、最後に見回してみる。毎晩、同じ場所に立てかけていた宝剣の束が当たった部分の壁が少し凹んでいる。建て付けが少し悪い窓は、最後まで直らなかった。
「世話になったな。」
その一言は、独りでに口をついて出た。
「・・・感傷的に、なるとはな・・・」
傑都グレイスでの自宅では無いのに、不思議と愛着を感じている。いや、この宿屋全体が、恰も“家に帰ってきた”様な雰囲気を抱かせる。
「・・・世話になったな。次の“迷い人”も、温かく迎えてやってくれ。」
笑みを浮かべて言うと、カーシャは部屋の扉を閉めた。
|