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引用履歴

雪の中の軍曹 こうして、ふたたび長い隊列の歩みが始まる。分隊に分隊が続き、小隊に小隊が続く。眠気、飢え、寒さ、疲れ、兵器の重さは、何ものでもなく、またすべてでもあった。肝心なのは、ただただ歩くことだった。そして、つねに夜であり、雪であり、ひたすら雪であり、星であり、ただただ星だった。星を見つめた私は、自分たちの歩いていく方角が変わったことに気づいた。いったい、どこへ向かうのだろう。

〜 雪の中の軍曹 より〜
 引:2007/03/13 積:2006/05/24 仕:2007/03/01 了:2007/03/13

へうげもの 1「なんだこの茶室は……!?
たった三畳の室内が……
無限の空間に感ずる!!」

〜 へうげもの 1 より〜
 引:2006/01/01 積:2005/12/23 仕:2005/12/23 了:2005/12/23

もやしもん 2「まァ農大の女は 年を追うごとに 化粧っ気が 消えていくけどな」

〜 もやしもん 2 より〜
 引:2005/11/08 積:2005/10/24 仕:2005/10/24 了:2005/10/24

WILDERNESS 4「いいか、なあちょっと聞いてくれ。
 俺が最初に殺したのは、俺が知ってる男だった。
 奴は強盗事件の頭だったし、一緒にいたのも一週間かそこらだったけど、奴のことは好きだった。
 今でも奴は俺の頭に居座って怨み言を云うんだ。
 眠れないことだって有る。
 多分これからもずっとそうなんだ。
 人を殺すってのは多分そう云うことなんだ。
 それでも俺は死ぬのが嫌だ!
 知ってる人間が死ぬのももう嫌だ!
 殺すくらいなら殺されたほうが良かった!?
 嘘だ!
 死にかけたんならその時お前にも判った筈だ!
 撃ったのは怖かったからだ!
 死にたくなかったからだ、違うか!?
 選択肢は有った!
 俺もお前ももう生きるほうを選んじまったんだ。
 今さら何だッ!
 お前は帰るんだ!
 俺と一緒に帰るんだッ!!」

〜 WILDERNESS 4 より〜
 引:2005/10/17 積:2005/07/21 仕:2005/07/21 了:2005/07/21

空母瑞鶴 太平洋の戦いにおいて、水上艦艇と交戦して沈没した日本海軍の空母は「千代田」のみである。しかも高角砲を米水上艦艇に向けて反撃したのである。この日の朝、米護衛空母群が栗田部隊と交戦したが、これらは動ける空母であり周囲に直衛艦が付随していた。
 米水上艦艇と航行不能状態でただ一隻、高角砲で交戦した「千代田」。生存者は救助されることなく、生還者はない。

〜 空母瑞鶴 より〜
 引:2005/06/04 積:2005/05/07 仕:2005/06/01 了:2005/06/04

世界の終わりの魔法使い「星はわれわれを知らないしわれわれも星を知り得ない せいぜい星の配置を自分勝手に解釈して物語を思い浮かべたりするだけ… つまり世界がわれわれを無視しつづけるのと同じようにわれわれもまた世界を無視しつづけているわけだ… しかし例えば一冊の本を読むことはそれに抗うことだよ 一冊の本を著すこと一篇の詩を詠むことは世界に無視され消えてしまうことをこばむ行為だとわたしは思う」

〜 世界の終わりの魔法使い より〜
 引:2005/02/26 積:2005/02/22 仕:2005/02/23 了:2005/02/23

洪思翊中将の処刑戦争が終わったそのとき、フィリピンの山中で、佐藤氏は洪中将に、これで韓国は独立する、洪中将も帰国されて、活躍されることでしょうといった意味の祝いの言葉を述べた。そのとき洪中将は威儀を正して「自分はまだ制服(ユニフォーム)を着ている、この制服(ユニフォーム)を着ている限り、私はこの制服(ユニフォーム)に忠誠でありたい。従って、これを着ている限り、そういうことは一切考えていない」と言われた。

〜 洪思翊中将の処刑 より〜
 引:2004/11/14 積:2004/10/29 仕:2004/11/07 了:2004/11/13

夕凪の街 桜の国「……教えて下さい うちは この世におっても ええんじゃと 教えて下さい」

〜 夕凪の街 桜の国 より〜
 引:2004/10/19 積:2004/10/19 仕:2004/10/19 了:2004/10/19

カラシニコフ 作家フォーサイスによると、アフリカにはいま二〇カ国以上の「ソマリア的国家」があるという。
「そのどれも国とはいえない国、失敗国家だ。安定と崩壊の狭間でつねに揺れている。数十人の傭兵で簡単にたおれる」
 自衛隊の現場幹部と、日本でのクーデターの可能性を議論したことがある。部隊指揮官のある一佐がいった。
「われわれだけが武力を持っているのだから、首相官邸やテレビ局を制圧するのは可能でしょう。しかし、その後どうするのですか。国民の反感の中で国家を運営できるわけがない。そんなことをする意味がない」
 ソ連では九一年八月、保守派がクーデターを企てた。だが市民が戦車の前に立ちはだかり、政府転覆に失敗する。「新しいロシア」に一体感を見出した市民が武力を拒否したのだ。
 国家は国民に支えられて正当性を持つ。そういう国が、国連加盟の約一九〇カ国のうちいくつあるのだろうか。

〜 カラシニコフ より〜
 引:2004/09/22 積:2004/07/20 仕:2004/09/20 了:2004/09/22

八月の砲声 下(ちくま学芸文庫) このジョフルの訓辞の語句はいたって平凡で、張合いがないくらいだった。だがそれだけにきびしく強くひびいた。「いま、祖国の安全を左右する戦いに臨むにあたり、各自はもはや過去をふりかえることは許されない。攻撃に全力をかたむけ、敵を撃退せよ。前進不可能の状態に陥った部隊は、いかなる犠牲もかえりみず陣地を死守し、退くよりは死を選べ。現在の状態で敗退は許されない」
 それだけだった。赫々たる武勲への努力は過去のものとなった。命令には「進め!」という叫びは聞かれず、兵を栄光へと駆り立てようとの意図も見られなかった。一九一四年、最初の交戦から三〇日経ったいま、栄光は望むべくもないという不吉な予感が残ったのである。

〜 八月の砲声 下(ちくま学芸文庫) より〜
 引:2004/09/14 積:2004/07/20 仕:2004/09/05 了:2004/09/20

八月の砲声 上(ちくま学芸文庫) その夜ホワイト・ホールの英国外務省では、エドワード・グレイ卿が友人と窓際に立って、街灯がともされるのを見つめていた。そしてあとあとまでも当時の空気を象徴することになった言葉をつぶやいた。「ヨーロッパ中の灯りがいま消えてゆく。生きているうちにまた灯りがともるのを見ることなどできそうもない──」。

〜 八月の砲声 上(ちくま学芸文庫) より〜
 引:2004/09/04 積:2004/07/20 仕:2004/08/03 了:2004/09/05


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