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■最強とは?■(3/3)※ランダム表示
(続編の最後まで読んでる方でないとちょっとネタバレになります)

 側近であるシーグルが体調不良でカリンが外出中という事で、今回将軍セイネリアが登城するにあたってその付き添いにはエルがやってきていた……のだが。
 エルが自己紹介をしたところで、この国の幼き国王陛下はその青い目をキラキラさせて聞いてきた。
「ねーねーエルってアッテラ神官って事は強化術使えるよね?ね?ね? 力が上がるんでしょ? 俺一回やってもらいたかったんだよね」
 だがそこで、王様の背後からなんだか地の底から響くような恨みの篭った(?)声が聞こえてきた。
「へー~いー~かぁっ」
 王の側近である少年が病んだ目でそう言えば、王様はちょっと意地悪そうな顔をして振り返る。
「だーいじょうぶだよメルセン、さっきみたく人前じゃちゃんとするからさ。それに最悪見られても将軍に一睨みして貰えば口外しようなんて思う人間はいないしっ」
 ね、とそこであの綺麗な顔に満面の笑みを浮かべて側近である年上の少年に首を傾げて見せれば、側近の少年は無言で一人百面相をしてから大きなため息をつく。うわー振り回されてるなーと思いつつ、いやでもこれは勝てねぇよなぁとなんだか側近の少年に同情してしまうエルだったりした。

 * * * * *
「……と、いう訳でエルはシグネットの事を最強だと言っていた」
「最強?」
「あぁ、最強の王になれる器だそうだ」
 その夜帰ってきたセイネリアから今日の話を聞いたシーグルは、その言葉の意味を聞いてもまったく理解が出来なかった。セイネリアの事を最強というのなら分かるが、まだ小さな少年王を最強と言うのはどういう意味なのか分からない。最強の将軍さえ甘くなるから? ……なんて考え込んだのだが、セイネリアはやたらと楽しそうに笑っていてどうやら意味が分かるらしい。
「最強の定義なんていろいろあるものだが、俺もその言葉にはある意味同意だ。俺とは違っていい意味であの王に勝てる人間はそうそうにいないだろうな」
「いい意味……か」
「あぁ、お前の見立ては大したものだ。お前の容姿と頭があってあのガキ神官の性格は確かに上にいたら誰も勝てない」
「そ……そうか」
「俺と違って、皆好んで逆らえない」
 それにはなんとなく言いたいことが分かって、シーグルはほっと安堵の笑みを浮かべる。少なくともシグネットが皆に愛されている様子はいつも見ているから、良かったとそう思える。すると今度はセイネリアがシーグルの額にキスして言って来た。
「だがお前も最強だ。最強の俺がお前にだけは逆らえないんだからな」

 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆

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