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■遙かなる望郷の地へ(一時Store)
日時: 2007/09/23 10:39
名前: 天査

★★★ お知らせ ★★★

「本編」の先時間部分を、一時的に保管しておく場所です。ジャンニ、エリアドの二氏が本編に加筆次第、この一時保管を解除します。

>ジャンニ、エリアドへ

本編の進行状況を見てみましたが、書き込みNo.170から続きをお願いします。グランの方の進行具合と内容を再度チェックして、相互のベクトルは合わせますが、下記は実施されたと思って下さい。

・グランから公都への連絡
・ジャンニからグランへの連絡(但し、魔法携帯では不可)

これを踏まえて、書き込みをお願いします。

天査
メンテ
Page: [1]

一時Store(1) ( No.1 )
日時: 2007/09/23 10:30
名前: 天査

CY591-10-02-07-01/12 ( No.173 )
日時: 2007/09/21 02:05
名前: カレン/ラファティー
参照: ジョフ大公国/公都前面陣地/第二防衛線

それは、唐突に始まった。尚も煙が燻る最外郭線から、黒山の様なオークの群れが這い出し、第二防衛線に殺到してきたのだ。

カレン・ケイスナルド率いるコーランド軽歩兵第六、第八連隊は、地平から湧き出る様なオーク達が彼らの前面に現れても、息を凝らしてただじっと機を待っていた。

唐突に、最初のオークの一団と共に、大きく地面が陥没した。フィリップとトーレンス率いる猟兵が、罠を発動させたのだ。

「今だ! 全力射撃!!」

カレンが大きく腕を振ると同時に、満を持して軽歩兵達は火矢を撃ち掛ける。炎の尾を引いた幾百もの流星が着弾すると共に、陥没に捕らわれたオーク共々、巨大な爆炎を吹き上げる。

「着弾位置を伸ばせ!!」

カレンの下知に、軽歩兵達は矢の着弾点を先に延ばした。炎に行く手を阻まれたオーク達の頭上に、鋭い矢が雨霰と降り注ぐ。

「成功だな」

カレンの隣に来たラファティーは、にやりと笑った。

「まだ序盤だ。オークどもがあの炎を乗り越えて来たら、乱戦になる」
「準備は出来てるさ。巨人でもが出てきた場合、左右からカタパルトとバリスタで挟撃する」
「今日は、何としてもこの陣地で持ちこたえるんだ。夜には、最終防衛線に後退するからな」
「判ってる。計画通りに進めるよ」

そうすんなり行くかどうか──不安が無いと言えば嘘になる。だが、既に彼らは選択肢の無い戦いに引き込まれているのだ。コーランドの軽歩兵達にとって、長い、長い一日となるのは請け合いだった。
メンテ
一時Store(2) ( No.2 )
日時: 2007/09/23 10:31
名前: 天査

CY591-10-02-06-02 ( No.172 )
日時: 2007/09/15 20:30
名前: フィリップ/トーレンス
参照: ジョフ大公国/公都前面陣地/第二防衛線

「夜が明けたな」
「あぁ」

昨夜の激戦の名残が残る煤だらけの顔を、猟兵を率いる二人の指揮官フィリップと副官のトーレンスは見合わせた。

「どれ位やられた?」
「KIA四、WIA十一だ」
「以外と軽微に切り抜けられたな」

闇夜の激戦にしてはなぁ、とトーレンスは大きく息を吐く。

「混戦だったからな。だが、今晩からはそうもいかないだろう」
「あぁ。奇襲効果は期待できないからな。攪乱戦だと、各自の才覚に任されるからな」

トーレンスは肩を竦めた。

「努力してこなかった奴は、これが年貢の納め時にある」
「そうだな」

二人とも、自分たちが率いる猟兵にそんな輩がいないのは百も承知。これは、いわば二人の間の“お約束”の様な会話だった。

今宵、誰が倒れるか判らない。だが、誰が倒れても、彼ら猟兵は絶対に引かない──その意志を、二人は儀式の様に言葉で交わしたに過ぎない。

そう、自分が倒れても──猟兵達は一歩も引かずに、任務を全うするだろう。そんな誇りをも、感じさせる言葉だった。
メンテ
一時Store(3) ( No.3 )
日時: 2007/09/23 10:31
名前: 天査

CY591-10-02-06-01 ( No.171 )
日時: 2007/09/11 05:37
名前: カレン/ラファティー
参照: ジョフ大公国/公都前面陣地/第二防衛線

★★★ シーン転換:第二防衛線 ★★★

「夜が明ける」

公都前面の第二防衛線の塹壕にも、東の地平からの最初の陽光が差し込んでくる。

「最初の夜を乗り切ったな」
「あぁ。それも、最低限の損害でだ」

カレンは悴んだ両手を擦り合わせた。
北、西、南と周囲を山脈に取り囲まれたジョフは、修繕の月(十月)に入ると、朝方は大分冷え込んでくる。
ラファティーはカレンの隣に立つと、にやりと笑った。

「何か可笑しいか?」
「いや、冷えるな、と思ってな」
「平気だ。」
「ほぅ?」

きっぱりと言い切ったカレンに、信じがたいな、と言う表情を浮かべるラファティー。それが、何時もの通り、カレンの疳に障った。

「信じていないな?」
「信じて欲しいのか?」
「お前だって、寒いだろうに」
「あんたの話をしてるんだが?」
「やせ我慢をするな」
「している様に見えるのか?」

我慢してるのはあんただろうに、とラファティーは苦笑した。何時もの通りの、たわいない遣り取りである。

「・・・まぁいい」

諦めた様に、カレンはため息を吐いた。不毛な話題を変えてみる。

「兵達はどうだ?」
「夜通しだからな。多少の疲れが見えるな」
「中隊単位で、多少の休息を取らせよう。いざと言う時に、疲労で動けないのでは困る」
「判った。その様に取りはからおう」

ちょっと行ってくると言って、ラファティーは立ち去った。

「・・・」

無言でカレンは、昨夜相手を迎撃した最外郭線を眺めた。昨夜の名残か、うっすらと煙がたなびいている。

「今晩が山場か・・・」

眉根を寄せると、カレンは呟いた。
メンテ

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