〜御巫神社の境内にて〜
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つらら |
「渚ちゃんっ」
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渚 |
「あ、つららちゃん、今 帰り?
もうすぐ早苗ちゃんも来るから、良かったらゆっくりしていって」
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つらら |
「……あれ、早苗ちゃん、来るの?
さっき、バスの中で早苗ちゃん見かけたんだけど、
降りないで行っちゃったよ」
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渚 |
「えっ……?
おかしいなぁ、今日 アルバイトにくるハズなんだけど……。
なんか予定が出来たのかなぁ?」
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つらら |
「同じバスに乗ってたんだけど、私が降りた時には、まだ乗ってたの。
てっきり、同じところで降りるかと思ってたんだけど……」
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渚 |
「……うーん。 多分、なんか急用が出来たんだよね。
こういうこともあるよ」
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つらら |
「あ、それじゃぁ、早苗ちゃんのぶん手伝うよっ。
何か私に出来ること、ない?」
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30分後
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早苗 |
「な、渚ちゃ……渚ちゃん……、はぁ、はぁ 。
お、お、遅れて、はぁ、はぁ 、ごめんなさい……、はぁ、はぁ ……」
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渚 |
「早苗ちゃんっ! どうしたの!? 息きらせて、大丈夫!?」
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早苗 |
「あ、あのね、ふぅ、ふぅ。
バ、バスで……その、降りるときにね、ふぅ、ふぅ……」
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つらら |
「さ、早苗ちゃん。 とりあえず落ち着いて。はい、これ お茶……」
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早苗 |
「あ、ありがと……」
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そして……
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渚 |
「……どう、落ち着いた?」
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早苗 |
「……うん、ごめんね。なんか、慌てさせちゃったね……」
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つらら |
「それで、いったいどうしたの〜?」
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早苗 |
「あ、あのね……。
学校でちょっと委員会の仕事してたら 時間かかっちゃって、
それで、バスに乗ってココまで来ようとしたの。
でも、途中からすっごく混んできて、どんどん、どんどん、
後ろの方に追いやられちゃって……、
『御巫神社前』に着いても、降りられなかったの……」
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つらら |
「そっか、私が見たのはその時の早苗ちゃんだったんだ」
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早苗 |
「『降ります』って、何度も言ったんだけど、誰も気付いてくれなくて……
次の次の停留所でやっと降りられて、それで……」
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つらら |
「私みたいに、大きな人の背中に
張り付くようにして降りちゃえば良かったのに〜」
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渚 |
「でも、無事で良かった。何かあったのかなって、心配しちゃった。
……今日は、つららちゃんが手伝ってくれたんだよ。」
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早苗 |
「そうなんだ……ごめんね、渚ちゃん、つららちゃん」
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渚 |
「ううん、気にしないで。
それじゃ、ちょっとお茶にしようか?
今日は駅前でバウムクーヘン買ってきたんだ。じゃーん」
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つらら |
「わ───っ♪ だから、渚ちゃん、好きぃっ!」
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