ここから先は:「tell me do」さんの物語です

すると真っ赤な毛むくじゃらは突然動きを止めた。

まるで、時間が止まったような静止ぶりだ。
宇宙人のあまりのフランクな物言いに思わず友人に
言うかのように言ってしまった。

言い方が気に障ったのか!?ぼくは一瞬後悔した。
次の瞬間、宇宙人の口が突然動いた。

「んん?なにそれ?意味わかんない」
「…」

口を動かすたびに何か音がする。あやしい…

「いや…あの、子供番組に出てる…本当は恐竜の子供で…」
「あ、それ、ガチャピン。ムックは雪男だから。それよりさ、
浅川さん、いつ投降する?」

意味わかんないってか知ってるし。

ボクの顔をみながらパチパチと瞬きをしているが、
やっぱりそのたびにカチャカチャと音がする…。絶対着ぐるみだし。
ボクは猛烈に確かめたくなった。

「あの、今ぼくコーヒー飲んでたんですよね。
ちょっと入って…コーヒー、飲んでいきませんか?」

「え?いいの?いやあ、悪いねえ〜」
何の躊躇もなくズカズカとぼくの部屋に入ってくる。

「あ、ここ、靴脱ぐ?」
「あ、はい…って靴…」
履いてるし。

しかも、黒の革靴だ。
靴の仲底には「REGAL」と書かれている。

「いやいや、ごめんごめん、靴のまんまちょっと歩いちゃったよ」
と言いながら相変わらずの陽気さで玄関まで戻りぼくの靴の横に
革靴を並べた。あやしさを通り越している。

「もう、いっそいでココ来たもんだからさ、喉カラカラでさ。
休み無しで来たんだよ!」
ぼくはわざと熱いコーヒーを入れた。

「熱いから気をつけてくださいよ…あ、そうだ、砂糖は…」
もうすでに飲み干してるし。

空のコーヒーカップを握ったままこちらをみつめている。

「…もう一杯、飲みますか?」
「あ、いい?いやあ、悪いねえ〜」
すると宇宙人の腹から股間にかけて、じわじわと湯気が立ってきた。
色もなんとなくその部分だけ濃くなっている。

「あ…」
ぼくは思わず指を差した。

「あぁ、これ?大丈夫大丈夫。気にしないで。
液体飲むといっつもこうなるの。毎っ回のことだから。」
あきらかに漏れている。

「…シャワー、使います?」
「えっ?いいの?いやー、助かるわ。いやほんと、ココ、遠いじゃん。
ずっと休んでなかったから、風呂にも入ってないんだよ!」
じゃんって…。

「タオル、どれ?あのね、せっけんよりボディソープ派なんだよね」
などと言う彼の要求に一通り答えてやると、
さっさとバスルームに消えていった。

ヤツは絶対に脱ぐ。宇宙人であるはずが無い。

タイミングをはかって覗いてやろう。

あとわずかで真実を目の前にする。
ぼくの心臓は高揚と緊張で高鳴った。

その瞬間、バスルームからすごい勢いで宇宙人が出てきた。

「あのね、言い忘れたけど、シャワー浴びてる間は絶対覗かないでね。」
さっきとなんら変わらぬ容姿だが、何故か彼は股間をタオルで隠していた。

「あ、う…うん!」
「絶対だよ!」

「うん!!」

再び彼はバスルームに消えた。今度はぼくも用心深く耳をすます。
すぐにシャワーの音が聞こえてきた。彼の鼻歌まで聞こえてきた。

今しかない。

ぼくは…


  1. 脱衣所に飛び込んだ。
    (この分岐より先「樽の中」さんの物語です。)

  2. まよわず家からとびだした。
    (この分岐より先「田吾作」さんの物語です。)

  3. 仲間を呼びに行くと・・・・・
    (この分岐より先「ぽちょん」さんの物語です。)

  4. 入り口越しに声を聞いてみた。
    (この分岐より先「ビランシス(種蒔き型)」さんの物語です。)


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