ここから先は:「にゃ」さんの物語です

そうだ、友達に電話してみよう。

ぼくはベッドの横の充電器に目をやった。
携帯電話に「着信アリ」「メール受信」の
ライトがチカチカしていた。

そりゃそうだ。
こんだけの大騒ぎだ。
ぼく以外だって動揺しているに違いない。

ちょっとホッとしながら
いつものようにケイタイの操作を始めた。

着信履歴は3件だった。

元カノの「リョウコ」
二ヶ月前に別れたんだが、その後もなぜかよく会っている。

別れた原因はリョウコに新カレができたからだ。
ぼくとは正反対のタイプのワルそうな男だった。

優柔不断で優しいだけのぼくに飽きたのだろう。
でも、まだリョウコが忘れられないでいる。

親友の「ナオキ」
小学校からの親友だ。

コイツが男前だから、ぼくはいつも引き立て役。
リョウコも「ナオキくんかっこいいよね」と言っていた。

頭もいいし、背も高い。で、性格もいい。
たまに嫉妬するけど、自慢の友達だ。

ぼくの「おかん」

この三人からの着信があった。

メールはリョウコからだった。
「タロウ大丈夫?宇宙人だって!コワイね〜」

ナオキからもきていた。
「電話でないけど何してんだ?
朝のニュースみたか?アレほんとかな?」

…この二人のメールにあまり恐怖は感じられない。
多分ぼくと同じようにニュースや新聞で知ったのだろう。

受信時間は今から一時間前だ。

ナオキに電話をしてみた。

プップップッ…
プルルルルルルルル…プルルルルルルル…

出ない。


リョウコにも電話してみる。
プップップッ…
おかけになったお客様は電波の届かない…

圏外かよ。

オカンはどーなんだ?
プップップッ…
プルルルルルルルル…プルルルルルルル…

出ない。

複数の人に電話をかけて、
誰ともつながらない時というのは
妙に淋しいというか孤独というか、疎外感を感じる。

それに今は大きな不安がプラスされている。

怖い。

「連絡くれ。」
リョウコとナオキにそれだけメールを返信した。

とにかく落ち着こう、と冷蔵庫の中から牛乳を出した。
よく冷えた白い液体が喉をつたわって胃に入るのが分かる。

ぼくはじんわり汗ばんでいた。

これが冷や汗っていうのかな…と思いながら
台所のテーブルの上に牛乳のパックを置き、
自分の部屋の方に目をやったその時!

ぼくは自分の見た光景が信じられなかった。


  1. ナオキとリョウコとおかんが・・・・・・・・になっていた!
    (この分岐より先「kei」さんの物語です。)

  2. なつかしさに涙があふれた。
    (この分岐より先「灰かぶり姫」さんの物語です。)


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