2001年04月25日(水)
雇用の創出?
ここで紹介した安井先生のHPで紹介されてた「からだと化学物質」って本を先月読み終わったが (一般人にはやや難解でわけわからん部分もあるかも知れないが)最高だ。特に「ダイオキシン なんか無害だ」みたいな主張は過激だ。「いろんな化学物質が怖いなんていうホラー本(と呼ぶ のだそうだ、そういう類の本は)はくだらん」といつも思っていた私も、これはちょっと一本 取られたかな。まだまだ修行が足らんかったわ。このHPでは最近、諫早とか長野のダムの話と 環境を絡めた内容もあって興味深かった。まぁ基本的に同意というか、要するに「自然を雇用確保の ためのおもちゃにすることは、馬鹿げたことだ」との事で、全くその通りだ。
ところで私は親には「この、不経済学部!」と罵られながら一応経済学科などという所にいたので 経済学は一通りやった(無論ほとんどもう忘れてしまった)のだが、アダムスミスだのマルサス だのはまぁ常識的にわかる。マルクスあたりも革命理論みたいなぶっとびに行ってしまう前の 経済理論などはまぁ一部理解できなくもなかった(ような気がする)。しかし近代経済学となると どうも???だらけだった。数学が絡んで難しい、ややこしい、以前になんだか小手先をごちゃ ごちゃといじり過ぎて本質を忘れてないかい?という感覚が非常に強くしたのである。中でも ケインズ経済学なんかでよく出てくる「雇用の創出」というのは未だに全く理解不能な概念だ。 いや、理解はできるがなんだかそんなインチキな話があっていいのか?とかなり疑問だ。偉大な ケインズ先生にイチャモンをつけるのは、「相対性理論は間違っていた!」とかいって実は自分に 理解できない理論は間違っていると考える、いわゆるトンデモ本を書いてしまう似非科学者モドキ と一緒になる虞が大なのであるが言ってしまおう。
「雇用の創出なんて概念はインチキである」
ケインズ経済学のキモは、要するに経済を回転・拡大させる為に政府が公共投資を行う、(当然 景気が回復したら税収がアップして投資は回収できるという事になっている、御伽話だけど) というものであるが、極端な話、景気が良くなる事が全てに優先し、なんだったら穴掘らせて、 掘ったら埋めろ、その周りにいろいろな仕事が発生して全てはうまくいく、ってな話なのだ (と思う。違った?)が、これがうまくいく為にはこの「無駄な事業の周りに実需を伴う仕事が 発生する」という派生効果が主要な役割を果たすわけなんだが、どうもなんだか根本的に本末 転倒な気がしてきたのだ。(というか昔からしていた)
そもそも我々人類(おお、なんという大風呂敷)は、「楽して美味いモノ食って、面白おかしく 安全に長生きしたい」という目標を持ってこれまで生きて来たわけで、別に「雇用されたい」 なんて思って社会を発展させたり、戦争を起こしてみたりしたわけではないはずだ。まさか現在の 先進国のような楽で豊かで面白い社会が実現してしまうとはあんまり思ってなかったからどうも 途中で目標を失いかけておかしくなってしまったように思える。今の日本の不況なんて豊かに 成り過ぎてロクに欲しいもんが無くなっちゃったから以外の原因があるとは思えん。それを 無理矢理「やれこれ使えー、このサービスを消費しろー」なんて需要の強引な創出をしようと してうまく行くだろうか?そういう発想の延長に「雇用の創出」というもんがあるわけで、人々は 古い品を嫌な気分と共にただ単に大量のゴミとして投棄させられたあげくに益々使いたくもない 新製品を無理矢理押し付けられ、日曜までうるさいセールス電話のサービスを受けるハメに至り、 無駄な警官がねずみ取りなんかして言語道断なサービスをしてくれるようになってしまってるの である。
原点に帰ろうじゃないか。「食い物他の生産物は生産性が上がれば、少量の労力(コスト)で 入手可能になる。サービスもこれに準ずる」とする。そうして十分豊かになったらもう過剰な 生産による拡大経済を目指すのは止めにして、「生産性が上がった分、どんどん休日にして 好きな事に使う時間を増やす」事を目標にするのだ。もちろん収入なんか上げてはならない。 有意義な時間を過ごすのに益々金がいる、というのはアホである。唯一の問題はこれで果たして 「資本主義がうまくいくのか?」という所に集約されるだろうが、やっぱこれはうまく行かない だろう(笑)、なんせ拡大再生産が前提なんだから。という事はやっぱ「資本主義はダメだ」 という事になってしまうな。うむ、実際そうかも知れない。別にええのんではないですか?
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